オッサン同士のディープキスが周囲に与える破壊力
せめてフレンチキスにして欲しい
オッサン同士のディープキスを見たことがあるか?
という質問を五人にしたところ、内四人があると答えた。
状況的内訳は以下の通りである。
・飲み会でふざけて 2名
・そういう集まりで 1名
・海外のそういう町で 1名
私がオッサン同士のディープキスを目にしたのは、この内のどれでもなかった。
その場所に行けば、見られる、もしくは見られる可能性が高い、そんな状況とは違い、あくまで私生活のワンシーンとして、私は目撃したのだ。
”紛れ込んだ”という表現が正しいのかもしれない。
仕事の帰り、JR大阪駅。
一日の疲労が全身を包み込み、とても足取りの重い私。
終電間近のこの時間。
終電間近であるにも関わらず、駅は人で溢れている事に。より一層のストレスを感じる。
改札を抜け、ホームに上がるエスカレーターに乗り込む。
不思議なことに、その一瞬、エスカレーターに人はほとんどおらず、私と少し前方にサラリーマン風のオッサン二人組がいるだけだ。
オッサン二人の後ろ姿をぼんやり眺めながら、エスカレーター右側に立ち、ホームを目指す。
オッサン二人が笑顔でなにやら話し込んでいる。
二人とも四十半ば、片方は完全にはげ散らかし、もう片方はパキパキのオールバック。
妙に二人の距離が近い。
次の瞬間だった。
二人が猛烈に濃厚なディープキス。
エスカレーターから転がり落ちそうになるのを堪えながら、なぜだか、二人から目を逸らす事が出来ない。
舌の絡み具合までしっかり見せつけられ、私の精神状態は万事休す。
流れ弾を喰らって死にゆく無念さか。
ホームに上がりきる直前、二人してこちらを振り返り、恥ずかしそうに笑い合う。
「あら、見られちゃった。」的な笑み。
彼氏、彼女の話ではない。
四十半ばのスーツを着た、オッサン二人の話である。片方はハゲだ。
それぞれに、家族がいるのだろうか。
外でのみ、自分をさらけ出し、家に帰ればいいパパになる。
そんな二面性が、あちらこちらに存在するのかもしれない。
それにしても、おっさん二人は、自分達のディープキスが放つ、その破壊力どう考えているのか。
どれほどの愛があろうと、その光景が周囲に与える、衝撃は問題視せざる終えないレベルである。
こんな発言は同性愛者に対する差別的発言となるのだろうか。
しかしだ。
あの時間のあの場所、疲労を抱える人々の精神状態を考慮して、せめて、フレンチキスにして欲しい。
心からそう思う。
aloha shigeru!!!