伊勢道”嬉野パーキング”で見つけた、強烈なエナジードリンク
他とは明らかに違う、その飲料水のパッケージにボクの目は釘付けになった。
時刻は午前四時。
場所は高速道路、伊勢道の”嬉野パーキング”である。
伊勢でサーフィンをするために、車を走らせていたボクは、途中で強烈な眠気に襲われて、高速道路の休憩所を訪れた訳である。
ふらつく足取りで、小便を済まし、眠気覚ましの”頼れる友”、ブラックコーヒーにタバコを注入しようと喫煙所に足を運んだ。
喫煙所に設置してある、自動販売機に小銭を投入する。
三列あるうちの一番下の段。ちょうどブラックコーヒーの真下に、明らかに一つだけ、異質の雰囲気を出している飲料水を見て、ボクは固まってしまった。
「お嬢様聖水・・・・」
これは完全なるアダルト商品ではないのか?
よく”陰毛”や”パンツ”と抱き合わせで売り出されているタイプの・・・
ドン・キホーテで見つけたならわかるが、高速のパーキングである。
よく目を凝らして、もう一度パッケージを見てみる。
どうやら、エナジードリンクらしい。
”お嬢様聖水”という名のエナジードリンク。
興奮を抑えつつ、ポケットの小銭をかき集める。
エナジードリンクなんてモノは大体が高い。
何に効くのかさっぱりわからん、はじめて聞く成分名をあげて、こんだけ入ってますよ!!!と訴えかけてくる。
消費者としては、「まぁ、そんだけ入ってるなら・・・」となぜだか納得してしまう。しかも飲んでみると、その味の濃さから、エナジーを感じざる終えない。
そして、皆一応に言う。
「なんとなく、元気になった気がする」と・・・・
そんな風にしてエナジードリンクは確固たる地位を築いた訳である。(知らんけど)
缶コーヒーの倍の値段を自動販売機に投入。誰かに見られていないだろうか、周囲を確認してみる。
時刻は午前四時だ。
ボクが”お嬢様聖水”を購入することを笑う奴など、どこにもいない。
右手で握りしめた”お嬢様聖水”パッケージのお嬢様が妖艶に微笑みかけてくる。
「一体どんな味なのか??」
”青春”の味か、”初体験”の味なのか、妄想が膨らむ。
勢いよく缶のプルトップを引き上げ、”聖水”を喉に流し込む。
喫煙所のベンチに腰掛けて、夏の朝日に目を細めながら煙草を吸う。
もう一度、”聖水”を喉に流し込む。
さっき以上にタバコを深く吸い込み、溜息と共に吐き出した。
そして思った。
「普通のエナジードリンクやな・・・・」
その味から、”女子”や”お嬢様”、”青春”や”初体験”を感じ取ることは出来なかった。
後で調べてわかったのだが、この商品、実は女子をターゲットとして売られているらしい。つまり飲むことでお嬢様的な力が目覚めるという、そんなコンセプトのようだ。
オッサンが下ごごろ丸出しで、飲む商品ではないのである。
パッケージのエロさに騙されて即購入、これでは実際の女子にも余裕で騙されることだろう。
それでもまぁ、なんとなく元気になったような気がした。
そんな気がした、夏の朝だった。
aloha shigeru!!!