余裕がないと対応は雑になると思う、私は日々そうなっている
余裕なき朝、最寄駅までの急ぎ足
余裕がないと対応が雑になる。
接客業を長年していると、これは日常的によく感じることである。
私の場合、通勤時間が極端に長いこともあり、日々の睡眠不足と疲労を隠しきることは不可能に近い。
人と面と向かって喋っている時に、眠さのあまり白目に、なんてことが日常茶飯事だ。
また、事態は白目だけでは食い止める事が出来ず、一瞬意識を失い、膝が抜ける、これも頻繁に発生する。
日々、視界がぼやけた中で暮らしているものだから、目の前の事がはっきりと認識出来ず、そんな調子なもんだから、未来など到底、明確である訳がない。
火曜日の朝のことだった。
呑気に朝ご飯を食べ終えてから気付いた。
髭を剃っていないと、ただでさえ、胡散臭い風貌の私、髭の処理はある程度しっかりしておかないと、ビジュアルがものを言う接客業には差し支えが生じる。
出社前の僅かな憩いの時間も捨て、髭を剃る事に徹する。
なんとか出血する事なく剃り終えた時には、時間ギリギリ所か、明らかなタイムオーバー。
とにかく、家を出て、駅に向かう。
こんな時でも走りたくないのが、我々「足の裏弱い族」である。
「足の裏弱い族」、簡単に言えば足の裏に魚の目が出来て、痛みのあまり走りたくないのである。
「足の裏弱い族」に関しては昔、記事にしたので、猛烈に暇な人は、そちらで確認いただきたい。
走りたくないもんだから、歩行動作から走動作に移行するギリギリの時速、たぶん時速6キロほどで歩く。
これぐらいなら足の裏への負担も大きくはない。
それでも時間はギリギリ、間に合うかは微妙なラインである。
「お金貸してくれへん?」
私の視界に駅がしっかりと入った時だった。
前方から四十~五十代と思われる男性が歩いてくる。
少し怪しげだ。
そして私を凝視しているのを感じる。
すれ違い様だった。
「お兄さん、財布落としたからお金貸してくれへん?」
私は即、答えた。
「頑張って!!!」
私の歩行は時速6キロから落ちることなく、駅に向かう。
返答しながら見た、男性の表情は少し寂しげだった気もする。
電車にはなんとか間に合い、先ほどの自分の対応を思い返す。
あそこで、かける言葉として、「頑張って!!!」はさすがに雑だな。
あの男性は、果たして何を頑張ればいいのか、皆目見当もつかないはずだ。
もし、私に時間的制限がなければ、立ち止まり、なぜ財布を落とす事になったのか、その経緯ぐらいは聞いていたかもしれない。
寂しそうな顔を思い出し、余裕のない自分と、私から余裕を奪い、他人への優しさすら忘れさせた、忙しき日々を恨む。
いや、しかしだ。普通、交番行くだろ。
そこでちょっとぐらい、お金借りれるだろ。
どう考えても怪しいだろ。
しかも駅と反対方向に向かってたし、電車乗らないなら、なんで金借りるんだ。
あの人はあの人で、余裕なく、雑な行動に出ていたのかもしれない。
aloha shigeru!!!