日々楽書~針小棒大~

くだらない事を宇宙規模で

私の知り合いの、ナンパ師谷さん、話が聞けたので書く

三年で三千人に声をかけた男のお話し

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 知り合いにナンパ師の方がおられる。
 出会ったのは一年ほど前だ。

  名前をここでは谷さんとさせて頂こう。
 この谷さん、ナンパに目覚めたのはちょうど三十歳になった時らしい。
 三十年間、異性に対して何一つアプローチをして来なかった一人の男がある日を境にナンパ師に変貌する。
 ある意味、シンデレラより清く美しい、純粋な男のお話だ。

決意の日

 三十歳になった年のある日、谷さんは、カフェで一人コーヒーを啜りながら、街行く人々を眺めていた。
 唐突に思ったらしい。自分はこのままでいいのかと。
 今までの人生、恋愛という世界に対して見て見ぬ振りを貫いてきた。
 傷つく事を恐れ、何もしなければ傷つかないのだから、今のまま、大きな喜びがない代わりに深く傷つくこともない、そんな日常を保つ事こそが自分には重要なのだと。
 しかしだ。このままで何になる。
 このまま傷つく事もなければ、愛し合う事も知らずに、人生が終わり行く。もちろん家族を持つこともなく、我が子をその手で抱き抱える事もない。
 まだ三十ではないか、遅くはない。今ならまだ間に合う、そうだナンパ師になろう。と。
 とても純粋な人だからこそ、ゼロか百しか考えが及ばないのだろう。
 女性との接点を持とうとしたときに、最初に思い浮かんだのがナンパなのだから、この人は本当の意味で極端な真面目なのかもしれない。

師は語る

師曰く、「ナンパとは、最も弱き生き物のために存在するモノ。」らしいのだ。
 我々の思う、ナンパをする人種というのは、世間で言うチャラい類の人々だ。
 師は語る。「モテる人はナンパなんてしなくてもいいんですよ。」
 「職場とか飲み会とか、どこでも出会いを恋愛という形に変えて行くポテンシャルがあるんだから。」
 「私たちのような、年齢イコール彼女いない歴だった人間は普通の出会いの場では、からっきし駄目なんです。」
 「今まで女子とまともに絡むことが出来た試しがないんですから。」
 職場や飲み会、その他、様々な日常生活での女子との出会いの場で、何一つ行動を起こすことの出来ない男子が最後にたどり着く場所、それがナンパらしい。
 なるほど、と腕を組んで、頷きたいような、そうでないような。
 谷さんは現在三十三歳。この三年間でおよそ、三千人の女子に道端で声をかけ、その内の約百人と連絡先を交換。
 さらにその中の三十名と最後までいったらしい。
 つまりだ、百人の女性に声をかけると一人とは最後まで行けるという計算である。
 百人で一人か、これをどう取ればいいのだろうか。非常に難しい。
 その労力と見合っているのか。
 谷さんはさらに続ける。「僕の最終的な目標はあくまで、結婚相手を見つける事なんです。だから、闇雲に声をかけているのではなく、最低八十点以上ある女性にしか声はかけないです。」
 これを聞いてたまげた。
 つまり、最後までいった女性は全て八十点以上の女子な訳だ。
 少し羨ましくなってきた。
 ナンパ師と聞いて、少し冷やかしの気持ちで谷さんと向き合っていた自分が情けなくなる。
 私も明日から、この人を師と崇め、その技術を可能な限り吸収させてもらうべきか。
 
 それにしても、普段女子とまともに絡むことが出来ない男が、ナンパなど出来たのだろうか、普段それなりに女子と絡むことがある私でも、道端を行く、見ず知らずの女性に声をかける勇気などない。
 そこには相当な決心と血の滲む努力があったようだ。
 最初は散々だったらしい。
 声をかけた相手の女性に、「あんたそういうタイプちゃうやん。」と言われ、小一時間説教を受けた事もあるらしい。

 それでも声をかけ続ける事、三千人。

 ナンパという修練の甲斐もあって、職場の女性や、飲み会で会う女性に気軽に声をかけれるようになったらしい。

 最後に、「ナンパは主にどこでするんですか?」と聞くと。

 「そりゃあ、ホワイティ梅田でしょう。」と答えてくれた。

                                    aloha shigeru!!!