日々楽書~針小棒大~

くだらない事を宇宙規模で

ある日の行きのはなし

考える通い人 

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 最寄り駅から、京都駅までの15分、無事に席に座ることができると、なによりもまず、眠りたいと思う。

 京都駅から大阪までの30分は腰を据えることが、ほぼ絶望的なので、今の内に少しでもいいから目を閉じておきたいのだ。
 そんな風に思って、いつも目を閉じるのだけれど、膝の上に置いたフライターグの鞄に忍ばせている、文庫本が気になりだして、結局はページをめくり出す。
 1ページだけとか、次の段落までとか、思いながら、車内に「京都駅」のアナウンスが流れ、焦って目を閉じる。
 これじゃあちょと長いだけのまばたきだなと、その的外れさに呆れてしまう。
 

 大阪方面への電車を待ち、ベンチでくたびれていると、向かいのホームに電車が到着。電車の車輪部分の複雑さにいつも、目が向く。
 役割が明確なのは車輪だけで、その他の、四角い箱みたいなモノや、意味不明に伸びている、チューブのようなモノはなんのためにあるのか、訳が分からん。
 チューブに関しては、あの中を「車内トイレ」で排出された、シッコやウンコが駆けめぐり、車外にブチまけるための物だという、ボクなりの答えが出て、少し落ち着いた。
 

 電車に乗り込み、ギュウギュウとまではいかないものの、手足の位置を少し変えることにすら、周囲に気を使う車内状況。車両と車両の連結部のドアに背をつける形に落ち着いたボクは、立っている人の中では自分が一番いい位置どりだと、僅かながらの優越感に浸る。
 この優越感、しょせんは立ち組の中でのはなしだ。
 座り組はJ1でボクら立ち組はJ2、そんな気持ちが優越感に水を差す。
 鞄の中のスマホが震えだし、手に取ると、友人からラインが一通。
 「今週金曜日、4対4。心斎橋。20時から!!どう?」
 この友人から来るラインは大概こんな感じで、この人はいわゆる、コンパ狂なのである。
 

 「行きます」の一言を打つことが出来ず、決定を先延ばしにしてしまう。
 物事を決定するということに対して、これほどまでに時間がかかるようになったのはいつぐらいからだろうか。
 最近は特に、小さなことを決めることがとても苦手になったと思う。
 どっちでもいいようなことほど、悩む時間が長くて、こういうのって結構なストレスになって、蓄積されていくと思う。
 ちょっとのことで、風邪を引いたり、蕁麻疹で皮膚科に駆け込むようになったのも、こんな些細なストレスの積み重ねからきているかもしれない。まぁほんとの所はよくわからん。ただの歳である可能性の方が高い。
 

 結局、参加するんだろうなぁと高速で映り変わる景色をみつめ、そう思った。

                                      aloha shigeru!!!