生きにくい私~ネット環境と喫煙~
最近の休みの日の過ごし方は、街に出て、カフェに入り、購入したてのノートパソコンでブログ記事を書く。
今までは休みと言えば、基本サーフィンだったけれど、冬の寒さもあってか、すっかりインドア派に生き方が方向転換している。
サーフィンは行けば間違いなく、楽しいし、心が洗われ、来て良かったと思うのだけれど、文章を書くことの楽しさをフツフツと感じている今日この頃、休みの前の日は明日はどこで書こうか、どんな内容にしようか、私の思考回路はこんな内容で埋められてしまう。
さて、購入したてのノートパソコンを使い、ブログを書くにあたり、必要不可欠なモノ、それはネットの繋がる環境だ。
自宅にはデスクトップのパソコンがあるが、その他機器のネット環境は全く整っていない。
自宅で書くつもりは元々なかったので、というのも、私のノートパソコンは重量1キロにも満たない、超軽量型であり、持ち運ばなければこいつの良さは活かされない。
また最近ではネット環境を整えている、カフェが街には多く、これを利用しない手はないと考えたからだ。
という事で、本日もノートパソコンをかばんに忍ばせ、観光客でごった返す、京の町に足を踏み入れた。
事前に下調べはしていたので、烏丸御池にある新風館三階、インターネットがフリーで出来るというのが売りのカフェに迷わず入る。
このお店、最近では珍しい、全席喫煙席。
煙草が吸えるというのは、私にとって、ネットへの接続が出来る事とほぼ差がないと言っていいぐらいに重要な事なのだ。
席に着く。
ガラス張りで外の景色を眺める事の出来る、二人掛けの席に一人で腰を下ろす。
少なく見積もっても、三時間は滞在するだろう。コーヒー一杯ではお店に申し訳ない。
長期滞在料として、本日のランチを注文。
遅めの朝食をとり、一服してから作業に取り掛かろう。
甘辛い唐揚げを豪快にのせたどんぶりを食す。
どんぶりを食しながら、ノートパソコンを立ち上げ、Wi-Fiの接続を行う。
即座にWi-Fiは接続完了。
今のところ完璧な休日だ。
浸りかけたその時、事態は急展開を見せた。
Wi-Fiへの接続は完了しているものの、私のブログへ入る事がいつまでたっても出来ない。
パソコンを再起動させ、再度試みる。
繋がらない。
そこへ食後のコーヒーを持って店員さんが登場。
「なんか、繋がらないんですけど・・・。」不安げに私は言う。
定員さんが、慣れた口調で言う「ちょっと調子悪くて、最近ネット検索出来ないんですよ。すいません。」
椅子から転げ落ちそうになるのを必死にこらえ、すました顔で私は言った。
「そうなんですね。わかりました。」
あまり残念そうな顔をすると、なんだか、物凄くけち臭い奴だと思われそうで、恥ずかしく、すました対応をしてしまった。
胸の内は違う。この店はフリーでネットを出来る事が一つの売りではないのか、それを目当てに訪れるビジネスマンや大学生相手に、店が成り立っているんだろう。
最近っていつからだ。昨日今日か三日ほど前か、一週間となるとプロとしての意識の低さを感じる。
しかしあの慣れた感じ、何人もの相手に繋がらないことを伝えてきたのだろう。
私が繋がらない事を伝えた瞬間に見せたあの顔、ハイ来ました、毎日その声聞いてます的な顔。
あの目は死んだ魚の目だ。完全に何かを放棄した人間の目だ。
最初に言えよ。長居することを目当てに、それと引き換えにランチを注文したのに。
この店にこれ以上用はない。
食後のアイスコーヒーをがぶ飲みミルクコーヒーのごとく、がぶ飲みし、お会計を済ませ、店を出た。
休日の貴重な時間が、奪われてゆく、急がなければ。
近くのスターバックスに駆け込む、フリーでネットをするならスタバだ。間違いない。最初からそうすれば良かった。
しかしスタバに一歩足を踏み入れた瞬間から、私をまとった違和感。何かおかしい。なぜに私は最初からスタバを選ばなかったのだろう。
確かに最近はスタバでノートパソコンを開く若人があまりに多く、そんな流行に乗っかっていると思われたくない、という思いはある。
だが、それだけか、私があえてスタバを選ばなかった理由は。
それは決定打としてはあまりに軟弱な気がするのだ。
違和感を身にまといつつ、アイスコーヒーのトールサイズを注文。もちろんトールサイズとは言わず、Mサイズと伝える。
アイスコーヒーを片手に席に着く。ここもガラス張りで街を行きかう人々が見え、まさにノートパソコンを開くために作られたような場所だ。
ノートパソコンを開き、Wi-Fiの接続を行う。スタバでは初めてだったので、アドレスとパスワードを登録、その後すぐにネットの接続が完了した。
なんの問題もなく、ブログのページが開かれた。
最初からこうしておけば良かったのだ。やはり王道に敵うものなどないのだ。
来店した時に感じた違和感はどこかへ消え失せ、安堵の思いで、溜息が出る。
書く準備を整え、胸ポケットから煙草を取り出す。
そこで本日二度目の衝撃が私の全身を走った。
スタバは全席禁煙だ。
はめられた、来店時に感じた違和感、その正体はこれだったのだ。
私は文章を書く時と関係なく、普段からスタバに入ることはまずない。
その理由がこれだ。煙草を吸えない。
こんな当たり前の事、普段からわかりきっている事すら忘れてしまうほどに、私の思考回路は、ネット環境を整える事でいっぱいだったのだ。
呆然とする私、店内にはキーボードを打つ音と、流れる音楽の音色が絶妙に交じり合い、スターバックスがスターバックスである所以を感じさせる。
喫煙を制御された私にとって、ネット環境などはどうでもいいように思えた。
煙草が吸いたい。
ただそれだけだ。
この世界で私にとって必要なモノは、煙草以外にないと思えるほどに。
一文字も書くことなく、二件のカフェを梯子し、まだまだ寒さ厳しい、冬の街に一人立つ。
途方に暮れた足取りで、街を徘徊し、ようやく行き着いたドトールコーヒー。
完全隔離された喫煙ルームで、三時間は無料という制限付きのネット環境を手に入れ、この記事を書くに至った。
時刻はpm4時、貴重な休みが終わろうとしている。
aloha shigeru!!!