日々楽書~針小棒大~

くだらない事を宇宙規模で

なりたい自分をイメージするという事。

初めてのオーダースーツ

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 大きな変化がないように、雰囲気が変わったなどと言われないように、静かに髪の毛を切った。

 髪の毛を切る際の最近の私のテーマはこれだ。

 昔は美容院に行くたびに、有名人の写真を見せて、誰々のようにしてくれなどと熱く訴えていた。

 ここ最近は違う。あくまで一定に常にちゃんとしている状態をキープする。こんな事に大人と紳士を感じる気がする。

 そしてスーツ。普段スーツの必要性が皆無な私がとてつもなくスーツに魅力を感じている。

 あのパリッとした感じ、英国風なのか欧米風なのかは知らないが、あれを着たい。着て街を商店街を地下鉄構内を練り歩く。

 という事でカッコいいと思ったら次の日にでも真似る癖のある私はスーツの購入のため某スーツ店を訪れた。

 新年のセールという事でイージーオーダー2着で40000円。

 私と同様にスーツの必要性が皆無な友人を口説き落とし、口説き落としたと言っても、スーツを着ればモテるかも、と言っただけだが。1着づつ、20000円でモテるスーツの購入に至った。

 地下のショッピングストリートに面した某スーツ店。

 勢い勇んで足を踏み入れたものの、形あるスーツは見当たらず、生地がずらっと並んでいる店内。

 この大量の生地の中から自分の好みの生地を選び出し、オーダーしていくようだ。

 戸惑う友人と私。普段は形あるものを手にして、買うのか買わないのか迷えばそれで済む買い物しかしていない。

 色は形は、嫌な汗が出始めたその時、店員が我々に声をかけてきた。「作りたいスーツのイメージはお持ちですか。」

 「イメージというか・・・そのカッコいいスーツが欲しくて。」

 店員は爽やかな笑みを作り、使用用途を尋ねてきた。

 下を向き唸る私を横目に、友人が「冠婚葬祭、特に結婚式がメインです。」と答える。ベストな答えだ。友よ。たまにはやるではないか。

 友人の言葉に便乗し、私もうなずいた。

 最近の結婚式において、スーツの色はかなり自由になっており、真っ黒のスーツを着て結婚式に出席するのは欧米ではタブーのようだ。日本の結婚式を見た海外の人が「ジャパニーズマフィア?」などという質問をしたりするらしい。

 薦められるがままに、ライトグレーの生地を胸にあててみる。なかなかいいではないか。まだまだ黒が主流の我が国において、こんな爽やかなライトグレーのスーツを身にまとい、結婚式に参加する。他の男性陣よりも一歩リードだ。

 とここで今更ながら思い出した。昔ハリウッドスターのスーツ姿があまりにもカッコよく、いつかこんなスーツを着てみたいと、ネットから引っ張ってきた画像が携帯に保存してあったはずだ。

 確かそう、ジュード・ロウのスーツ姿の画像がどこかに。

 携帯から必死になって、あこがれの伊達男の姿を探す私。友人はすでにネイビーの生地を手に持ち、携帯を必死でスクロールしている私を怪訝な目で見る。

 あった。ジュード・ロウがなんらかのパーティーに参加した時の1枚。

 「こんな風になりたいです。」覗き込む定員さんと友人。

 こんな時、付き合いが長い友人ほど決まって笑うようだ。

 本日、この世に誕生してから初めて関わった店員さんはもちろん笑わない。真剣な表情で、「いいですね。ライトグレーでかなり細身なスーツです。こんな感じで行きましょう。」と心強いお言葉。

 色はライトグレーに決まり、とにかく細身でシルエットをしっかり出すという事をテーマに、身体の採寸から全体の形、ボタンの数やベント*1の数に至るまで、これがイージーオーダーなのかと思わせるほど、細かな部分まで決めさせてくれる。

 ジュード・ロウの写真が功を奏し、驚くほどに、その後はスムーズに事が運んだ。

 オプションで皺加工を付けてもらい、イージーオーダー終了。

 友人も私も店を出るときにはぐったり疲れ、スーツの奥の深さを心から痛感した。

 初めてのオーダースーツ、出来上がりが本当に楽しみで、すでにスーツに合うネクタイや、靴の購入を考えている。

 それにしても、まだ見ぬ己をイメージする。これはとても大切なことのようだ。

 人は何か大きな変化を己にもたらす時、なりたい自分をいかにイメージできているのかがとても重要になる。

 髪型もスーツもこうなりたいという青写真を常に持ち歩く。

心にそっと持つでもいい、実際に写真として、文章として持つでもいい。細部に至るまで鮮明にイメージしたなりたい自分、これからは常に持ち歩くように心がけよう。

aloha shigeru

 

*1:スーツの裾の切れ込みの部分