雨と女、スニーカーとタクシー
不測の雨が降り続け、天気予報も完全にお手上げ状態。
昨日のニュースで、予報士が「正直読めません!!」と、投げやりな発言をしていた。
自然現象を予測しようとする事自体が、愚かな行いなのかもしれないが、今の時代予報はかなりの精度をもっているし、携帯のアプリなど、何分後の雨まで予想出来てしまう。
それでも不測の雨は多々ある。もしかしたら、自分が予報を正確に把握出来ていないだけなのかもしれないが、いずれにしろ本人にとっては不測の雨なのだ。
だからスゲー腹が立つ。
後輩のYは仕事終わりで雨が降っていると「俺は雨と女が一番嫌いや!!」と叫び出す。
そうなのだ。誰しも雨は嫌いである。女に関してはYの個人的現状が関係してくるので、あくまで、その時の勢いで出た言葉である。
その日もボクは、不測の雨にスゲー腹が立っていた。
会社を出た時は、そんな気配がまるでなかったのに、自宅の最寄り駅に着いた時には土砂降り状態。漆黒の闇から、怒涛の如く叩き落ちる、水分の一つひとつにパンチしたい気分になる。
無論、傘など持っていない。
自宅までは徒歩12分。けっこう遠い。しかもこの日はお気に入りのバンズのスニーカー。出来る事なら濡らしたくないのである。
バンズのスニーカーは雨に弱すぎる。この土砂降りは、間違いなくバンズにとって致死量となる水分だ。
コンビニで傘を購入し、ストライドを出来る限り狭めて12分を乗り越えるか、それとも……少し離れた所にタクシー乗り場が見える。
停車しているタクシーの後ろ姿が「そこの計画性のない奴、どーせ傘持ってないんだろう?早く俺に乗っちまえよ!!」
そんな風に訴えかけてくる。
出来る男は雨の日、タクシーを使う。と誰かが言ってたような。しかもその理由は靴を汚さないためらしい。
人は足元から、足元を見ればその人が大体わかるらしい。
足元で人を採点する。などという判断基準を認めるわけにはいかないが、とにかくお気に入りのスニーカーなもんだから、ここはひとつ、タクシーを利用しよう。
駆け足でタクシーにライドオン。僅かワンメーターで申し訳ない。
走るタクシーの車内から外を見る。気合で歩いて帰ろうと思っていたのが、アホのように快適なスピードだ。
自宅近くに停めてもらい、580円。この値段でバンズが死なないなら、ありだと思う。
ドアが開き、外に出ると、やっぱり雨は止んでいた。
雨も女も、とても意地悪だ。
aloha shigeru!!