BCCとCCを間違えて一斉送信したボク、事態はまさに”万事休す”
普段から「万事休す!!」が口癖である。
なんだか響きがいい。
大した事態でもないのに「それ、万事休すやな!!」なんて言ってみたりする。
完全に挨拶代わり化している、ボクの中での”万事休す”
そして、ボクはこの日、本当の意味で心底”万事休す”を噛みしめることになる。
カーソルを送信ボタンに合わせ、マウスをクリックする。
約150人に対して、メールが一斉送信され、今日のボクの仕事は一段落という所である。
お客様に対してのメールマガジン、この日の送信内容は、夏期休暇についてのお知らせだった。
送信と同時に、自分のしてしまったことの重大なミスに気づく。
頭は真っ白に、顔面はおそらく蒼白だっただろう。
人間としての機能は完全にフリーズ状態。
やっとの思いで、内線を手に取り、上司に連絡を取る。
「会員様へのメールマガジンをCCで送信してしまいました・・・」
上司が言う。
「えっ!?BCCじゃなくて・・CC?」
これがどれほどの重大時か、わかる人にはわかるだろう。
BCCとCC、これはメールにおける送信法の違いである。
本来はBCCを選択しなければならない。
CCで一斉送信すると、お客様全員のメールアドレスが公開状態で送信されてしまうのである。
つまり、150人全員が互いに、連絡をとれてしまう状態。
個人情報保護、プライバシーにやたらうるさいこの時代、このミスはまさに”万事休す”
上司が、即座に謝罪メールの文章を考える。
こんな時は出来る限り早急に、過ちを認め、謝るべきである。
出来ることなら”隠蔽”したい。
それが無理なら、ほとぼりが冷めるまで、”旅”に出たい。
そんな政治家的発想は、政治家だから出来るのであって。我々のような善良な一般市民には実現不可能だ。
上司が即席で作成した謝罪メールを、いま一度、一斉送信。
もちろん、今回こそはBCC。
再度CCで送信していたなら、間違いなく”旅”に出ていたことだろう。
謝罪メールの内容は、簡潔に述べると、「とにかくすいません。死ぬほど反省しているの許してください。以後気をつけます」
こんな感じである。
その後、営業終了まで、いつクレームの電話がかかってくるのか怯え続け、着信音が鳴る度に、嫌な汗が全身から吹き出る始末。
奇跡的に、一件のクレームもないままに、その日の営業は終了。
眠れぬ夜を過ごし、「時間を戻して欲しい・・・」と久々の神頼み。
翌日は昼出勤だったが、朝一から出社し、お詫びのメールを再度作成。
事の経緯を細かく説明し、誤送信してしまったメールの削除をお願いする。
その後は、来店されたお客様一人一人に、とにかく平謝りを繰り返した。
今回の件で、声を荒げるようなお客様は誰一人いなかった。
むしろ、「対応が早くて良かったね」などとお褒めの言葉を頂いてしまうことも。
”隠蔽”はよくない。”旅”に出ても何も変わらない。
正直に認め、向き合う事でしか、解決は生まれない。
そして、あの日からボクは”万事休す”を、極力使わないように心がけている。
aloha shigeru!!!