日々楽書~針小棒大~

くだらない事を宇宙規模で

地下鉄の七号出口が閉鎖、利用者の一人である私は苛立ちを隠せない

消えた七号出口、二か月はあまりに長いだろ

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 急激に気温が下がり、真冬日に逆戻りとなったその日、私はいつものように地下鉄の改札を抜け、向かって左、七号出口に歩を進めようとして、足を止めた。

 七号出口がない。大きな地下道が五十メートルほど続き、階段を螺旋状に一周半すると七号出口である。
 七号出口がない、という表現は少し違う。
 七号出口はおろか、七号出口へ向かう地下道すら閉鎖されているのだった。
 そこには大きな白い壁が立ちはだかり、この向こうに地上に繋がる通路があって、その先に出口が存在した事など嘘のようなのだ。
 驚き立ち止まっていたのは私だけではなかった。
 同じ時間に出社する会社員の方や、その他大勢のいつも七号出口を利用する人々が皆立ち止まり、困惑の表情を浮かべている。
 七号出口を利用出来ない事の弊害はあまりにも大きい。
 私が毎日利用している、この地下鉄東改札には二つの出口が存在する。
 東西を走る、大きな道路の北側に出るのが五号出口、南側に出るのが七号出口、この改札を利用する人々はそれぞれの目的地が道路の北と南どちらに位置しているかによって、出口を選ぶ。
 東西を走る道路はとても大きく、反対側に出てしまう事による時間的ロスはあまりにも大きい。
 特に朝の出勤時間は一分一秒があまりにも貴重で、無駄にしたくないと考える人が殆どである事は言うまでもない。
 つまり反対側の出口から出る事は自殺行為なのだ。
 こんな一見些細ともとれる行為に、大きな苛立ちを覚えてしまうのが、生き急ぐ現代人達が作り出した朝の出勤時間なのだ。

渡れない道路、眠れない朝
 

 私とその他大勢の七号出口利用者は、同じ様なふてく面で目的地とは反対となる、五号出口に歩を進めた。

 五号出口を出るとちょうど道路の反対側に我が社が見える。そのまま道路を無理やり横断、とはいかない。

 この道路の上には高速道路が走っており、道路の中央はその高速道路の支柱で遮られているのだ。

 つまり、横断歩道を使う必要がある。

 我々大阪人の感覚としては道路は全て横断歩道のようなもので、隙さえあらば、自慢の俊足を活かし、平気で渡り切ってしまう。

 しかし高速道路の影響でそうもいかない。

 わざわざ西か東に少し歩き、横断歩道を利用する必要があるのだ。

 予想以上の時間的ロスを強いられ、会社に到着。

 通勤時間が長いこともあり、睡眠不足が慢性化している私にとって、朝の僅か十分の遅延はあまりにも痛い。

 会社到着後すぐに仕事着に着替えて、僅かながら仮眠を取るからだ。

 イマジンしてみてやめた、私以外の勇気ある誰かに期待したい

 所で、七号出口の閉鎖理由であるが、浸水防止のための工事を行うらしい。しかも、工事期間は四月の末まで。
 あまりに長い。今から二ヶ月もの間、毎日十分づつ削られて行く私の睡眠時間。

 日々の疲労は積りに積り、冷静な判断を狂わす事だろう。

 睡眠不足と苛立ちが限界に達し、改札を通る。

 駅係員はそんな事知ったこっちゃない。いつも通りやる気の感じられない朝の挨拶。

 笑顔一つ作れない、無愛想さ。

 私の怒りは改札を抜けると同時に頂点に、助走をつけ、「七号出口閉鎖中」の看板にドロップキック。

 看板をチューペットを折る要領でへし折り、折れた片側を七号出口の方へ、もう片方を五号出口の方へ放り投げる。

 やり切った。

 駅係員は唖然とし、周囲にいる七号出口利用者からは称賛の声が。

 勝ち誇った顔で出社し、午前中の勤務はその余韻で非常に気持ちがいい。

 休憩時間にお昼の情報番組を見て、唖然。

 私の駅での粗暴の一部始終が映し出されているではないか。

 おそらく居合わせた誰かが、スマホで撮影し局にリークしたのだろう。

 いつ警察が来てもおかしくない状況に怯え、仕事にならない私。

 気が弱いくせに、怒りに任せてあんな事してしまうから、後悔と羞恥で居ても立ってもいられない。

 少しイマジンしてみたが、結果的に後悔と苦しみに襲われるだけなので、やめておこうと思う。

 こういう野蛮な事は私がやらなくても、誰かがしてくれるはずだ。

 ここは大阪ミナミだ。私が手を汚す必要などない。

 そこらへんにいる、頭のラリったおっさんが正義の制裁を加えてくれることを、心から期待したい。

                                                                                        aloha shigeru!!!